第553回月例会開催のご報告
講師の山脇さんは、出版社でのマンガ誌編集を経てフリーランスのライター・編集者として各紙誌やweb媒体でマンガ誌評などの活動を続ける傍ら、マンガ愛を極めて、京都精華大学マンガ学部新世代マンガコースで教員となり、ゼミをお持ちになるほどのマンガ好きです。今回、昨年刊行した著書の『すぐ読める!蔦屋重三郎と江戸の黄表紙』(時事通信出版局)についてお話いただきました。
テーマは「江戸の読み物・黄表紙とマンガの類似点」として、大河ドラマ『べらぼう』の蔦屋重三郎が手掛けた黄表紙にみるマンガ的魅力とは?として、現在NHKの大河ドラマ「べらぼう」に登場する「黄表紙」という冊子について、本の詳細についてご説明いただきました。
江戸期以前は、出版の中心は「天下の台所」の大坂であり、井原西鶴に代表される作家が大坂で出版したものが江戸でも読まれていましたが、江戸期も安定期に入ると、上方文化による冊子でなく、江戸の洒落た考え方による文学が求められるようになり、草双紙というジャンルが生まれました。
黄表紙はその1つで、主な作家は武家の次男などで、学はあるが家督は長男が継ぐため、その才をブラックユーモアなどの書き物に注いだとのことです。
草双紙の中でもターゲットを大人とした冊子は、表紙が黄色だったことから黄表紙との呼び名が付き、絵を主にしたマンガ冊子のはじまりとも思えるものです。
「べらぼう」では、5月26日の放映で、蔦屋重三郎が恋川春町に江戸の100年後を書いてもらっていますが、これは実際に「無題記」という名で江戸時代から見た未来のことが書かれています。いまから250年も前に、言わばSFの世界観で書かれたものであるとの解説に、参加者全員が大変関心を強く持ち、「べらぼう」も今後の展開に乞うご期待となりました。
■2025年5月27日(火)19:00~開催
■テーマ:「江戸の読み物・黄表紙とマンガの類似点」
~大河ドラマ『べらぼう』の蔦屋重三郎が手掛けた
黄表紙にみるマンガ的魅力とは?~
■講 師:山脇麻生氏(1993年経営学部卒)
フリーのライター・編集者として、「朝日新聞」「本の雑誌」「文春
オンライン」「集英社オンライン」など各紙誌やweb媒体で記事を
執筆。京都精華大学マンガ学部新世代マンガコース非常勤講師。
2024年より甲南大学文学部で非常勤講師として実践地域学を担当。
(事務局)