「さくら紀行」
日本の「花」と言えば、一に〔桜〕、二も〔さくら〕、三にも〔サクラ〕でしょう。
日本の各地で本格的な春の訪れを前にして、日本列島を沖縄から北海道へと約2カ月半にわたって縦断します。どこよりも一番早く咲くのは沖縄の「寒緋桜」、一番遅く咲くのが北海道の「エゾヤマザクラ」「チシマザクラ」です。
日本の桜の野生種(自生種)は11種あると言われています。今日では、桜の種類は、約400種類ほどあるとされていますが、桜の代表種は何と言っても「ソメイヨシノ」で、本州ではさくらの約80%を占めると言われています。そのソメイヨシノは、野生種である「オオシマザクラ」と「エドヒガンザクラ」の交配から誕生した桜です。
早咲きの桜は、河津桜、オカメ桜、修善寺寒桜、緋寒桜などがあり、花見の幕開けを飾ってくれています。そして、ソメイヨシノの開花で最高のにぎわいとなり、八重桜が最後を締めくくるという段取りになります。
日本では、城郭や城址公園には必ず桜の木が植えられており、白壁を背景に咲く桜には格別の美しさを覚えます。
本稿が掲載される4月半ばには、桜前線は東北・北海道へと移っていますが、会津若松城、山形城(霞城公園)、弘前城、松前城、函館五稜郭などに咲く桜が出迎えてくれそうですよ。
また、千年以上の風雪を乗り越えて、なお21世紀にも咲く、古代の桜として「日本3大巨桜」があります。
日本三大巨桜〔いずれも大正11年10月 国の天然記念物に指定〕
●山高神代桜(エドヒガン桜)樹齢推定1800年超。
(高さ10m強、幹回り11m強)
日本「最古」「最大」で神代の昔からの存在感を誇る老木の桜です。
(花の見頃は4月上旬)
●根尾谷淡墨桜(エドヒガン桜系)樹齢推定1500年超。
(高さ16m強、幹回り10m弱)
花が蕾の時は「ピンク」、開花では「白色」に、そして、「薄墨色」に変 色して散ることからその名がついたと言われています。(花の見頃は4月 上旬~中旬)
●三春滝桜(エドヒガン桜系、ベニシダレ)樹齢推定1000年超。
(高さ12m強、幹回り9m強)
真紅の小さな花を枝一杯つけて、水が流れ落ちる滝のように咲き乱れるこ とからその名がついたと言われています。(花の見頃は4月中旬)
・日本一早咲きの桜は、沖縄・世界遺産「今帰仁城跡」や「名護城址」では 緋寒桜が満開を迎える1月下旬から2月初旬頃には桜まつりが開催されて います。
・日本一遅咲きの桜は、北海道大雪山系「黒岳」のチシマザクラで、5月下 旬から6月初旬の頃に花が咲きます。
童謡「さくら」
♪さくらさくら 野山も里も 見わたすかぎり 霞が雲か 朝日ににおう
さくらさくら 花ざかり♪
♪さくらさくら 弥生の空は 見わたすかぎり 霞が雲か 匂いぞいずる
いざやいざや 見に行かん
番外編「さくらもち」
長命寺「桜もち」は、享保2年(1717年)創業の長命寺門前の桜もちです。塩漬けされたオオシマザクラの葉「3枚」に包まれて贅沢な容姿をしています。この時期最高の和菓子です。一度は、食して見られては如何でしょうか・・・。(墨田区向島隅田公園「やまもと」1個200円)
〔記、神門(S39年理)〕