会員便り

2018年06月15日 信州上田四季彩祭

信州上田四季彩祭 その5「つけば小屋」

信州に暮らして一番の魅力は豊かな自然です。

四季折々の美しい風景はもちろん、食材も豊かです。

りんご、ブドウ、山菜、高原野菜などなど。そして千曲川にも豊かな食材があります。

 

千曲川の夏の風物詩「つけば小屋」が今年も4月28日にオープンしました。

「つけば」とはハヤ(うぐい)の産卵習性を利用して、天然の産卵床に似せて作った人工の産卵床のことで、「人工の産卵場所」を「たねつけば」と呼んだことから「つけば」となったようです。つけば漁は全国的にも珍しく、群馬県で1,2か所、長野県でも犀川、高瀬川、そして上田を中心とする千曲川がもっとも盛んでした。しかし今では上田地域でもほとんど見られなくなり、上田駅から歩いて5分ほどのところにある鯉西の「つけば」がその伝統と風情を守り続けています。

30年以上つけば漁をしている鯉西のご主人西沢さんの話では、以前はこの季節になると千曲川沿いに小屋が立ち並んで活気もあったそうです。体力も必要な仕事ということもあって「千曲川の夏の風物詩」が消えていくのは寂しいが、今また「つけば漁」に関心を持つ若い人たちも出てきているので「チーム鯉西」で頑張っていきたいとのことです。

この時期のハヤ(うぐい)には綺麗な虹のような帯が表れて、産卵場所を求めて川をあがってきます、この習性を利用して急流に玉砂利を敷いて人工的に産卵場所を作り捕獲します。

捕獲したハヤは生きたまま水槽に入れ,産みつけた卵は採卵して漁業協同組合で孵化させ再び放流します。

つけば小屋では塩焼き、天ぷら、甘露煮、唐揚げなどにした魚を味わえます。

千曲川沿いにアカシアの花が咲くころ「つけば小屋」が河川敷に建てられます。

毎年、つけば小屋が建つと暖かな季節の訪れを感じて嬉しい気持ちになりますが、秋の終わり10月末に小屋が見えなくなるとなんとなく寂しい思いになるものです。

と言うのも我が家のベランダから毎日つけば小屋の鯉のぼりを眺めながら季節を感じているのです。

鯉西のつけば小屋ではハヤ、鮎、鯉料理の他、迷惑扱いされているブラックバスの料理を考案し、6月頃からメニューに加えるということです。このブラックバスの唐揚げ、天ぷら、マリネを試食したのですが、癖もなくこれがなかなかの美味でした。

6月16日には千曲川の鮎漁が解禁になるので、いよいよ鮎料理が味わえます。

また鯉西の「鮎ラーメン」も好評で、マスコミでも何度かとりあげられています。

鮎でとったスープと鮎の身をすり潰したつみれ団子。そしてなんといっても

上に乗った鮎の存在感です。

つけば小屋近くの河川敷では毎年8月5日に「信州上田花火大会」が開かれ、およそ一万発の花火を堪能できます。会場は新幹線上田駅からも近く、車両規制も行われるのでのんびり堤防に座って花火見物ができます、

川魚を味わい、ゆっくりお酒を飲みながら花火を楽しむ人たちも多く、この日のつけば小屋は満員御礼。そして我が家のベランダも花火見物の特等席。今年も甲南の友人たちがやってくるのが楽しみです。

鯉西のキャッチフレーズは「千曲川の味とロマン」

河川敷に建てられた「つけば小屋」は川からの心地よい風が感じられ独特の風情があります。

新幹線上田駅温泉口から歩いて5分ほどですので上田駅に降りたら散歩がてら「つけば小屋」へ寄ってみてください。

小林良子 S47文