会員便り

2020年06月09日 信州上田四季彩祭

信州上田四季彩祭 その17 「上田も初夏になりました」

季節はいつの間にか移り変わり、今年も千曲川には夏の風物詩「つけば小屋」が建てられ、トレードマークの鯉のぼりが気持よさそうに泳いでいます。
ただ昨年の台風19号の影響で千曲川の風景は少し変わってしまいましたが、以前と同じ穏やかな流れに癒されます。
崩落した別所線の赤い橋梁の復旧にはもう少し時間が掛かるようで別所温泉方面の通勤、通学の皆さんは今も不便を強いられています。

外出自粛生活から久しぶりに上田の街を歩くともう季節は初夏。枝垂れ桑が葉を大きく広げて青い実が付き始めています。
6月の中旬には小指の先ほどの実が黒紫色になって、6月の末頃になると上田駅近くのみすゞ飴飯島商店の外に「桑の実ジャムあります」という看板が出されます。季節限定の桑の実ジャムを楽しみに「そろそろ看板が出ているかな」とこの時期になるとワクワクしながらお店の前を通るのです。

上田はかつて「蚕都上田」と呼ばれる程、蚕種 蚕糸業が盛んでしたが、残念なことに今ではその面影は僅かになってしまいました。
このあたりでは殆どの家で蚕を飼っていたとのことで、広い屋敷のほとんどの部屋を「お蚕様」に占領されていたほどだったそうです。桑畑も広がっていたようですが、今では信州大学繊維学部に桑畑があるくらいで殆ど見ることはなくなりました。それでも「蚕都上田」を蘇らせようと最近は桑の木を植える取り組みが行われていまして、知的障がい者の皆さんが働く施設でも桑の木を植えて、ジャムやジュース、桑の葉茶などに加工して販売しています。
桑の葉茶は少し癖があるものの、結構美味しくて愛飲しています。蚕が食べて美しい絹が出来るのですから、このお茶を飲めば絹の様な肌になるのではと勝手な想像をしています。糸は吐かないと思いますが(笑)

上田駅から歩いて5分程のところにあります笠原工業常田館製糸場は国の重要文化財に指定された残り少ない蚕都上田の文化遺産です。
ここには国内最高層の鉄筋コンクリート5階建て繭倉庫など15棟が残されていまして、そのうち明治から大正にかけて建てられた7棟が国の重要文化財に指定されています。
敷地内には珍しい枝垂れ桑を始め数種類の桑の木が植えられています。
無料で施設内を見学できますので、ゆっくり旅行を楽しめる時が来ましたら期間などをチェックして訪れてみてください。
こんな大きな倉庫にどれほど大量の繭が入っていたのだろうと想像もできないほどです。
因みに上田の別所温泉には夏の間「蚕種」を保管していた天然の冷蔵庫「風穴」がありますのでまたいつかご紹介します。

ところで外出自粛でどのように過ごされていましたでしょうか?
外の風を感じたいとお庭でバーべキューを楽しまれた方もあるのではないでしょうか?
造園業の知人は移動できるコンパクトなピザ窯を考案しました。
高さは60㎝くらいでしょうか 重さは約50㎏で上下に分けて移動できるので使用しないときは片付けておけますし車に乗せてキャンプ場でも使えます。
これは販売しているわけではなく希望者が集まればワークショップを開いて作り方を500円の講習費で教えますが、本業の造園業が忙しいので皆さん自宅で作ってくださいとのこと。材料は陶芸の窯などに使う耐火モルタル。家族で子供たちも一緒にピザ窯を作れるのは嬉しいですね。
彼はどうしてこれを考えたかと言うと、庭にピザ窯を設置すると寒い信州では冬に雪が降ったりして管理も大変。そこで簡単に持ち運びができてしまっておくことが出来れば良いのではと思いついたのだそうです。
これなら狭いお庭でも大丈夫。燃料は薪。パンも焼けるとのことです。

まだまだ大変な日々が続きそうですが、楽しいことを考えながら乗り切りたいですね。

(小林良子 47文)