会員便り

2020年08月28日 会員あの人この人

OG著者紹介「お江戸やすらぎ飯」第二巻「芍薬役者」井上登紀子さん(S58文)

井上登紀子さん(筆名:鷹井伶)より、ご紹介文が届いておりますので、ご案内いたします。

 

「お江戸やすらぎ飯」第二巻「芍薬役者」

<あらすじ>

幼い頃に両親とはぐれ、吉原で育てられた佐保は、人に足りない栄養を見抜く才能を生かし、病人を助ける料理人になるため、医学館で勉学を続けていた。

泣き止まない赤ん坊を抱えて一人悩む若い母親、目が霞むようになり仕事を続けられるか不安を抱く門番、人気絶頂の裏で不眠に悩む歌舞伎役者……。それぞれの悩みに寄り添い、佐保は食材探しや料理に日々奮闘する。料理に込めた彼女の思いは届くのか――。

 

私が、本著を書こうと思ったきっかけは、「人はなぜ病気になってしまうのか」という素朴な疑問からです。取材で知り合ったある高名な医師に伺ったとき、「病気になるかならないかはその人の持つ免疫力によるところが大きい」という一つのお答えをいただきました。

人には生まれながらにもっている生命力があります。それにプラスして、日々どんなふうに過ごすか、中でも何を食するかが、健康には大きな影響を与えます。薬やサプリに頼ることなく健康維持ができないものか――その思いから、日本古来の漢方養生を学ぶようになりました。漢方というとなんだか苦い煎じ薬を思い浮かべてしまいがちですが、その薬の元となるのは多くが自然に生えている植物や木の実など(食薬と呼びます)です。

目のかすみ、不眠、寝汗、肌荒れ、肩こり、増えた白髪等々、病気とまではいかないけれど、ちょっとした不具合(未病)を抱えている方は多いと思います。これらは原因がわからず、自然と治ることもあれば、病気の前触れということもあります。できれば自然な毎日の食事の中で体調を整えていきたいですよね。

私が目指すのはこうした未病を治す食生活・台所にあるごくごく普通の食材を使った養生です。主人公の佐保にその思いを託しました。

巻末には簡単に作れるレシピも掲載しています。ご笑覧いただき、みなさまの健康づくりの一助となれば幸いです。

 

カドブン(角川文庫のサイト)でも拙作とレシピのご紹介をしています。こちらもよければご覧ください。

https://kadobun.jp/feature/readings/hae7voppfz4g.html