会員便り

2021年12月08日 信州上田四季彩祭

信州上田四季彩祭 その19「日本遺産 信州上田塩田平」

2021年は上田の四季を大きく跨いで過ぎて行ったように感じます。

春、上田城の桜は美しく咲きましたが「千本桜祭り」は自粛。夏祭りも花火大会も子供たちに関わる行事も形を変えて過ぎていった1年でした。

そんな中でも嬉しい出来事はありました。

2019年の台風19号で崩落した上田電鉄別所線の赤い鉄橋が復旧し、通学 通勤 そして観光客の皆さんも長閑な塩田平の風景を眺めながら上田駅から別所温泉駅までローカル線の旅を楽しめるようになりました
1年半ぶりに全線が開通した3月28日は盛大にお祝いしたいところでしたが、コロナ禍のため式典などは縮小されました。それでも多くのファンが駆けつけ別所線は終日満員。車内は超過密状態。ソーシャルディスタンスは何処へやら(笑)
別所線の復旧をどれほど多くの人が待ち望んでいたのか改めて感じた一日でした。

廃線も覚悟したという関係者の中には涙ぐむ人もあり、復旧を支援してきた地元の大学生らと喜びに沸いていました。

この別所線が走る塩田平は令和2年度「レイラインが繋ぐ太陽と大地の聖地」~龍と生きるまち信州上田塩田平~として日本遺産に認定されました。

日本遺産とは「文化庁が認定した、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の

文化・伝統を語るストーリーであり、各地域の魅力溢れる有形・無形の文化財群を、地域が主体となって整備活用し、国内外へ発信することで地域活性化を図ることを目的とした、日本の文化遺産保護制度のひとつである」

となっていますが、世界遺産のようにこの建造物、この地域と言ったように形として見え辛く、また「ストーリー」を観光資源としてどのように伝えるかも難しいところがあり、上田市ではシンポジウムを開くなどして歴史ある塩田平を国内外へどのようにアピールしていこうかと試行錯誤しています。「レイライン」とは夏至の朝日が照らす光の線のことです。

塩田平は古来「聖地」として多くの神社仏閣が建てられていまして、信州最古と言われる別所温泉から、国土・大地を御神体とする生島足島神社、そして大日如来(太陽)を安置する信濃国分寺は一直線状に配置され、レイラインを繋いでいるのだそうです。

また夏至と冬至には生島足島神社の鳥居の中を太陽の光が通り抜け、何とも神々しい輝きを享受できるのです。

副題となっている「龍と生きるまち信州上田塩田平」

塩田の人々は龍を特別な神として崇めてきました。雨の少ないこの地方では夫神岳山頂の九頭竜権現に雨の恵みを祈り、竹竿に反物を取り付け龍をかたどったカラフルな幟を担いで練り歩く雨乞いの祭り「岳の幟」がおこなわれています。この祭りは天下の奇祭と言われ2004年には五百年祭が盛大におこなわれました。

そして2021年開業100周年を迎えた上田電鉄別所線の駅を繋ぐ線路は空から見ると、なんと「龍」の形をしているのだそうです。

レイラインが繋ぐ別所温泉北向き観音、生島足島神社へは多くの人が初詣に訪れます。

また信濃国分寺では1月7日、8日には八日堂縁日が開かれ「蘇民将来符」やだるまを求める人たちで賑わいます

新しい年は希望に満ちた年でありますよう「太陽と大地の聖地」信州上田から願っております。

桜の咲くころには上田駅から別所線に乗って、千曲川の赤い橋を渡り、ロマン溢れる信州上田塩田平を訪れてみてください。(小林良子 47文)