会員便り

2025年05月23日 会員あの人この人

OG著書紹介:「てきてき 浪華のおなご医師と緒方洪庵」井上登紀子さん(S58文)

井上登紀子さん(筆名:鷹井伶)より、ご紹介文が届いておりますのでご案内いたします。

このたび5月2日に新刊が発売になりましたので、お知らせいたします。
「てきてき 浪華のおなご医師と緒方洪庵」(潮文庫)
 通算20作目の上梓作品となります。
 幕末の大坂、適塾を舞台にした作品で、タイトルの「てきてき」は緒方洪庵が好んだ荘子の言葉によります。

己の適を適すべきである――己の心に適する(自分らしく生きることができる)志をもち、それに向かって精一杯楽しみながら生き抜くこと――洪庵は自ら適々斎と名乗るほど、思い入れがあった言葉です。(適塾は適々斎塾の略です)

 本作は、史実を踏まえつつ、もしも適塾に女性がいたとしたらというフィクションを加えて作っています。

 今の時代は幕末に似ていると私は思っています。
 長く平和が続いていますが、世界を見渡せば戦争・紛争は絶え間なく起きていて、日本もいつ巻き込まれるかわかりません。ネットにより新しい価値観が押し寄せ、これまでの概念を変更せざるをえないところに追い込まれる――激動の世界で、私たちはどう生き抜くべきなのか。適塾で学ぶ主人公たちの姿にその答えの一つがあるのではないかと考えて、執筆しています。
 とはいえ、難しい話ではなく、船場言葉ならではの言葉遊びや当時の風俗などを織り交ぜ、笑える場面も多い、楽しい作品にしました。
 同窓会のみなさまにも、どうかご笑覧いただければ幸いです。

なお、ありがたいことに、ご好評いただき、発売5日にして重版が決まりました。

(鷹井伶 58文卒)