行事報告

2019年07月09日 定例行事

第44回女子部会例会に参加して

 6月10日、雨にけぶる虎ノ門ヒルズは、そこに足を踏み入れる者の感覚を試すかのような、モダンで個性的な建物でした。51階でエレベーターから降りると、そこにある圧倒的な高さの壁と小さな人間というコントラストに、一瞬にして異空間に足を踏み入れた驚きと喜びがこみあげてきました。ビルの中にギリシア神殿のような空間を作り上げた設計者に、そして、ここを会場としてくださった幹事の皆様方に、感謝の拍手です。

 会が始まる時間まで、オペラ劇場のような待合で飲み物がサービスされました。そこで女子部会の当初から来られている、それはステキな先輩とお話することができました。一人で参加しても、甲南人という見えない信頼関係で、どなたとでも楽しく会話できる会です。

 アンダーズ東京のお料理は、マグロ、ホタテ、豚ロースと、どれも一味違います。ワインも、赤白ともに、香(かぐわ)しい品のある美味しさで、大変幸せな気持ちでいただきました。

 そしてゲストは、瓦せんべいの『亀井堂総本店』を継ぐ、爽やかイケメンの松井隆昌様です。

 老舗ならではの神戸愛はもちろん、創業から146年間ずっと守り続けてきたもの、人の手の温もりが伝わるものをといった骨のあるお話を、品の良いソフトなタッチでお話されます。

 目の前のテーブルに、神戸発世界へ羽ばたく日本のスイーツとして、新たに開発された「TONOWA」が、用意されていました。

 日本に初めて伝わったオリーブの木が神戸にあるという由縁で、バターサンドのクリームの中に、甘さ控えめなオリーブビッツが入っているというお菓子です。

 塩漬けのオリーブがスイーツになるという発想そのものが意表を突くものと思い、講演後にお尋ねしたところ、和菓子の技術から生まれたとのお応えでした。洋菓子素材ではあるけれど、あくまで日本独自のスイーツであることを知りました。この会のお土産にも用意してくださり、誠にありがとうございました。

 海外に出てみると、日本の伝統のすばらしさや日本人のセンスの良さを感じますが、それを心から大切に守っていこうとする若者が、神戸に、甲南人にいることをとても誇りに思いました。そして、その喜びを感じるひと時を作ってくださったことに、深く感謝申し上げます。

        S 58理学部卒入江愛子

鮮やかな青葉が雨に映えるガラス張りの虎ノ門ヒルズ、その高層階に佇むアンダーズ東京が今年度の女子部会の会場でした。
開宴前のホワイエからフリーフローのおもてなしで、久しぶりのお顔ともワインで話が弾みます。
女子部会会長の佐藤さまが 今回から会費が大台に乗ったことを申し訳なさそうにご報告くださいましたが、ヘルシーでありながら魚介もお肉も、の豪華なランチコースです。東京甲南会会長、佐藤さまご発声の乾杯の一杯はホテルからの心づくしとのことで、たいへん満足致しました。

講演会は平成21年卒、若々しい、亀井堂總本店の松井隆昌さん。
亀井堂總本店さんと言えば、瓦せんべい。皆さんも甲南の校章など、さまざまな焼き印が押された瓦せんべいを頂く機会がおありかと思います。砂糖と卵を使い、日本の洋菓子の先駆けでもある瓦せんべいは、明治初めの創業時より、その美味しさと日持ちの良さで全国に知られるものとなりました。さらに現在はオリジナルの焼き印が押せる強みを活かし、お菓子としてはもちろん、人と人をつなぐメディアとして機能している、と 役割の変化をご紹介くださいました。

その善き伝統を受け継ぎつつ、5代目「見習い」を名乗られる松井さんが立ち上げられた新ブランドが「TONOWA」。神戸元町バターサンド、と銘打って、神戸ゆかりのオリーブや、淡路島のオレンジを材料に用いるなど新しい試みにもチャレンジされています。

講演中に配られたひと包みに加え、贅沢にもお土産に、とひと箱を頂戴しました。美味しさはもちろん、ひと包みごとの包装紙がすべて異なり、あわせると続き柄にも見えるという手の込んだ逸品です。

大切な人に届けた時に、その方が「良いものを頂いた」と思えるような、神戸の人が誇れる手土産に、という志の高さ。そして、神戸を世界から人の集まる街にしたい、との溢れる地元愛。

「ブラタモリ」ご出演時の裏話や、在学中の弓道部のお話、5代目就任は当時小学校3年生と2年生のご兄弟の会話から?など、楽しいエピソードもご披露くださりながら、あくまで謙虚に爽やかに、感謝の心を忘れない松井さん。

伝統を護る心と進取の気性のハイブリット、まさに理想の甲南ボーイだな、と、眼をハートにしていたのは、私だけでしょうか。

心に残る講演の後、甲南ボーイのレジェンド水野正人前会長の茶目っ気たっぷりのご挨拶、学園歌を歌う時、寿岳文章先生の格調高い歌詞に一瞬背筋が伸びるのも、嬉しい恒例となりました。 

今回も素晴らしい企画をありがとうございました。お骨折りくださった皆さまに心から感謝申し上げます。

鈴木(井戸)世津子 昭和60年卒 文学部