行事報告

2019年10月10日 NC東京

イノベーションジャパン ―大学見本市―に出展

今年も科学技術振興機構主催によるイノベーションジャパンが行われ、大学見本市に甲南大学から今年は3つのテーマが発表された。理工学部 山本教授、知能情報学部 田中教授、先端生命工学研究所 遠藤准教授がショートプレゼンテーションと常設パネルによる展示を行った。多くの学生や研究者、一般見学者が東京ビッグサイト青海展示棟Bホールを埋めた。
甲南大学はそれぞれ特徴のあるテーマで、多くの見学者が訪れ、兵庫選出の渡海紀三朗元文科大臣も各ブースに来られた。(S45理学部 西林 俊朗)

 

界面の簡単(Quantum)化学で説明・予測できる電気化学デバイス特性        理工学部 機能分子化学科 教授 山本 雅博

電気化学デバイスは、電極と電解質溶液、個体電解質界面での電気化学現象から成り立っている。
電子移動・イオン移動がnmレベルでの界面で起こる現象であり、界面での物資がデバイスの特性を決めることが多い。これらの現象の解明には、界面での電子・原子・分子、連続体レベルでの実験的・理論的な解析が必要だが、界面での実験は容易ではなく、理論的な解明を行うことの方がかえって効率的と思われる。本研究ではこれまで行ってきた界面での電子・原子・分子、連続体レベルでの理論的研究の応用展開を目指している。
一例として、界面で最も大事なパラメータである金属半導体\溶液界面、半導体\固体電解質界面の電気二重層構造を定量的に明らかにすることが、全固体電池の界面二重層構造によるデバイス特性制御に活用でき、次世代電池の実用化に貢献できると考えられる。

 

元気な人も病後の日とも姿勢や動きを簡易に計測して健康維持                         知能情報学部 知能情報学科 教授 田中 雅博

従来必要とされた数千万円もするモーションキャプチャではなくキネクトに代表される簡便的な深度センサーを応用し、誰でもが利用できる
(1) 手軽な機械で、健康をチェックし健康を維持することができるシステム
(2) 一人暮らしの高齢者や障がい者の見守りシステム
の開発を行っている。

・体操採点システム 学校、小さなコミュニティ、会社での体操の出来具合自動評価、新しい体操を覚えるための支援や、高齢者、病後人への貸出活用に期待できる。
・SIAS(Stroke Impairment Assessment)自動判定システム 多面的な脳卒中機能障害の評価項目で、簡単に短時間で評価出来る、総合評価セット すべての評価は身体機能の状態に合わせて点数によって表すことにより、自動化につなげ、測定者の個人差・個体差を避けて客観的な判定ができる。
・FMS(Functional Movement System)評価サポートシステム 怪我に対するリスク予測や運動パフォーマンス向上を目的として作られたFMSをサポートするシステムを構築

 

RNAキャプチャー微粒子(RーCAMP)で機能性RNAを最適化する!               先端生命工学研究所(FIBER)准教授 遠藤 玉樹(共研)教授 杉本 直己

RNAは特異的に分子を認識したり、化学反応を触媒したりすることができる。そのため、医薬品の開発や診断技術への応用が盛んに研究されている。

本研究で構築した技術は
・数万種類の配列バリエーションを有するRNAを、鋳型DNAと共に個別に微小担体へ担持する。
・担持されたRNAの機能をもとに微小担体を選別し、機能を発揮するRNAを最適化する。開発した技術は甲南学園から特許出願されており(特願2018-32974)、次の様な技術分野での活用が想定される。
・新規核酸医薬候補の配列最適化
・標的分子に応答して機能を発揮するセンサーRNAの構築
・RNAータンパク質間相互作用の網羅的解析
・細胞内機能性RNAの網羅的スクリーニング